美容師男子×美麗女子
昨日、色々考えた。
もし、彰の持っているあの画像が広がっていたら。
学校に行ったら、もうあたしの正体がばれているんじゃないか。
そうやって、被害妄想に捕らわれていた。
まぁ、現時点で誰も不審そうな目はしてないし、きっとあの画像は出回ってないんだとは思う。
まず、化粧が濃くて髪型がそれっぽくて、ドレス着てるだけのあたしなんだ。
誰かが見ても、パーティがあったとか何とか嘘をつけばいいんじゃないかってことも考えた。
だけど、不安は拭えない。
とりあえず彰に会わないようにするってことだけを考えている。
女子が騒いでいるってことは、つまり彰が居るってことなんだ。
注意しないといけない。
と、横から香水の匂いがした。
思った側からあたしの考えている事が分かるのか、3年生の下駄箱から王子が登場した。
「おはよう」
「おようございます」
後ろには取り巻きが数人ついてきている。
あたしに声をかけて、すぐに目の前を通り過ぎて行った。
「誰、あれ。3年?」
「あぁ、うん。今女子が騒いでる王子様」
「あんな人居たんだー」
平常を保っていても、内心心臓が飛び跳ねていた。
まさか、いきなり会うとは思っていなかった。
この時間は彰の登校時間と重なってしまうんだ。明日はもっと早く学校に行こう。