美容師男子×美麗女子
「・・・・・・・どうするつもり」
それを奪おうとして、あたしは手を伸ばす。
器用に彰はそれを避けて、馬鹿にするみたいに笑った。
抱えていた数冊の教科書が床に派手な音を立てて落ちる。
「別に、どうもしないけど」
鼻歌交じりに彰はその場にしゃがみこんだ。
綺麗な目が、あたしを見上げる。
「俺、千咲好きだよ」
「あたしは好きじゃない」
「あー、やっぱり?」
彰があたしのスカートの裾を引っ張るから、その手を払い除ける。
足を動かす時に、ぐしゃ、と教科書の表紙を踏んでしまった。
見事に滑って、あたしはその場にお尻を打ちつけた。
「っ、・・・・・・」
「恥ずかし」
「うるさい」
立ち上がろうとしたけど、それは阻まれて。
「千咲は、今何歳なの?」
「あたしは留年してない」
「じゃあ、17歳か」
ぐい、と彰があたしの肩に体重をかけた。
「うわ、ちょっと、!」
あたしはそのまま頼りなく、べしゃりと寝転んでしまう。
あぁ、こういうのを押し倒されたって言うんだ。
なんて自然にこの男はそれをやってのけるんだろう。