美容師男子×美麗女子
「あそこのホテル、俺の顔見知りが経営してるんだ。だからオネガイして、千咲の画像を手に入れたんだ」
「・・・・オネガイって?」
「まぁ、キミにはまだ早いかな」
「それより、最低。監視カメラから切り取ったんでしょ?悪趣味」
「否定はしないけど、まぁ作戦通りとでも言おうか」
伸ばした足先にはあたしの教科書が広がっている。
暴れたから、ページの端や表紙が折れてしまっていた。
「どうしよう、これから・・・・・」
思わず溜め息がこぼれてしまった。
「俺と付き合ってるんだから、堂々とすればいいんだよ」
「だから、付き合ってないって!」
「千咲は否定してるけど、みんなは付き合ってるって思ってるから」
「あれは言わせたんでしょ?本当に姑息な」
「頭脳派って言ってよ」
彰を押し退けて、立ち上がった。
空き部屋になっているこの部屋は、埃臭くてたまらない。
「パンツ見えそう」
「うるさい」
目を細める彰を睨んで、あたしは部屋から飛び出した。
今日は、このまま帰ろうかな。
というか、帰るしかない。
教室にカバンも何もかも置いてあるけど、戻るわけにはいかない。
今ここで戻ったら、きっとみんなからの痛い注目を浴びてしまう。