美容師男子×美麗女子
「千ー咲、帰るの?」
「うるさい、ほっといてよ」
顔を出した彰を睨んで、あたしは急いで下駄箱に走った。
学校をこんなに堂々と抜け出したのは初めてだ。
あたしは周りを見渡し、先生が居ないことを確認して、靴をはいた。
携帯も財布も無いけど、歩いてそのまま家に直行したら、何の問題も無い。
早く帰ろう。
あたしは急ぎ足で学校から出た。
頭の中はこれからのことでいっぱいだった。
なんであんなに目立っちゃったんだろう。
あの時、画像なんて気にしないで無視していれば。
明日から、本当にどんな顔をして学校に行けばいいんだろう。
これが不登校の発端だったりして。
憂鬱だ。
あたしは柄にも無く空を見上げちゃったりして、その広大さになんだか自分がちっぽけに見えた。
冬だって言うのに空からの紫外線は強いらしく、目の奥がずきんと痛んだ。
家に着いて、あたしは部屋に入るとすぐに布団にくるまった。
明日は仕事が入っている。
どんなことがあっても、顔にだけは支障が出ないようにしないと。
そうこう考えているうちに、あたしの目はどんどん重くなって、寝てしまった。