美容師男子×美麗女子


「なに、あいつがどうかした?」


髪をくしゃくしゃさせながら、千尋は後ろを振り返って彰を見た。


「なんでもないって」

「ならいいけど。なんか、やたらまとわりつくやつだな」


苦笑してその場を濁した。


馬鹿みたい。

あたしが、このあたしが、彰を怯えてる?


「じゃあ、また放課後」

「うん、また」


教室で別れて、あたしは周囲の冷たい目線をかいくぐって自分の席に着いた。

心臓が緊張で破れそうで、妬みと僻みで頭が壊れそうだ。

こんなに、噂になってるなんて。


昨日一緒に居た友人も、見事予想通り違う“グループ”に所属するようになった。

お昼を食べるだけの友人も、あたしのことなんか見えていないように、他の子達と喋っている。

これだから、女子ってのは信用できないんだ。


あたしはすることもなく、机に突っ伏した。

早く、早く学校が終わればいいのに。

早く仕事に行って、あたしらしく居たい。学校なんて、苦痛でしかない。


「ねぇ、付き合ってるって本当?」


昨日一緒に居た友人だった。


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