美容師男子×美麗女子


そのまま千尋は櫛とヘアピンを持ってくると、あたしの髪を結った。

慣れたように、髪を梳かしていく。


「最近、嘘ついてないように見えるけど」


細い指があたしの首に触れた。

閉じていた目を開く。


「嘘、ついてほしいの?」

「いや、別に」


あたしの体をはさんでいる千尋の足を触る。

甘かった。

千尋の匂いも、触り方も。


「最近、素直になったってハナシ。」

「なってない」

「そうか?」


気付いてた。

そっと、そっと触れるような触り方。


「俺、千咲のパターン読めてきた」

「どんなの?」

「それ言ったら、もう通用しなくなるだろ」


嘘をつかなくなった?


だって、あたしは今、嘘をついてるのに。



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