美容師男子×美麗女子
「本当に?多分、いじめられるんじゃない?」
おかしそうに彰は笑った。
彰、時既に遅しだよ。
「気にしない。あの画像はすきにしていい。だけど、もう恋人のふりはやめ、」
視界が真っ暗になった。
少し見えたのは、彰の長い睫毛。
後ろにあった机に倒されて、背中がはりついている。
彰の苦いキスだった。
そうだ、彰は喫煙者なんだ。だから、こんなに苦いんだ。
「・・・余計、俺を夢中にさせるだけだけど」
「・・・・・、離して」
左手首が熱かった。
力強くて、熱い。
「なんで、俺はキミを手に入れれないんだろう」
彰の綺麗な顔がまっすぐあたしを見下ろした。
倒されている状態がきつくて、足が震える。
「彰、痛い」
あたしの筋力のない足は役に立たなくて、膝がついてしまった。
彰が手首を引っ張る。
無理に曲がった腰骨が軋んだ。
「今日、アヤカを指名するから」
「は」
あたしを立ち上がらせて、彰は飄々と言ってのけた。
あたしは何が何だか分からない状態のまま、そのまま教室を出て行く彰の背中をぼうっと眺めていた。