美容師男子×美麗女子










□ □ □



「どうしたの?今日、元気ないじゃない」


アミがあたしの顔を覗き込む。

整形で作られた彼女の顔は美しくて、歪んでいた。

その台詞は、メイクをしてくれた千尋にも言われた。


「まぁ、ちょっとあって」


大して気にした様子も無いアミを振り払って、あたしは控え室の机に張り付いた。

溜め息が零れる。

本当に、今日彰は来るのだろうか。

高校の先輩の彰じゃなく、ホストの彰として。

そうか、今思い出した。あいつはホストだった。

じゃあ、今まで言った事も全部、戯言のはずだ。




「アヤカ、指名」


ボーイが控え室の扉を雑に開けて、あたしを呼びかけた。

返事も聞かないでそいつは扉を閉めると、向こう側で「いつもの兄ちゃん」とだけ言った。


勿論、立っていたのは“アキラ”だった。



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