美容師男子×美麗女子
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「どうしたの?今日、元気ないじゃない」
アミがあたしの顔を覗き込む。
整形で作られた彼女の顔は美しくて、歪んでいた。
その台詞は、メイクをしてくれた千尋にも言われた。
「まぁ、ちょっとあって」
大して気にした様子も無いアミを振り払って、あたしは控え室の机に張り付いた。
溜め息が零れる。
本当に、今日彰は来るのだろうか。
高校の先輩の彰じゃなく、ホストの彰として。
そうか、今思い出した。あいつはホストだった。
じゃあ、今まで言った事も全部、戯言のはずだ。
「アヤカ、指名」
ボーイが控え室の扉を雑に開けて、あたしを呼びかけた。
返事も聞かないでそいつは扉を閉めると、向こう側で「いつもの兄ちゃん」とだけ言った。
勿論、立っていたのは“アキラ”だった。