美容師男子×美麗女子


「彰は、いっぱい愛されてるくせに」

「は?」

「彰のこと、本当に好きな子だっているんだよ」

「やだ、千咲がいい」


あたしは耳を疑った。

およそ年上の発言とは思えない。


「あいつのことが好きなんでしょ」

「あいつって誰?」

「千尋くん」

「だから千尋は、」


気付いたら唇を奪われていた。

一瞬で離れる。


「・・・・・・千咲」


耳元の彰の声がくすぐったい。


「・・・何もしないって、言ったじゃん」

「しないって」


強く言うと、彰は苦笑した。

本当に、その気がないのかは分からなかった。


「彰は、愛されてるよ」

「そう?」


彰があたしの肩に顔をうずめた。

自然と、その頭を撫でてしまう。


< 174 / 210 >

この作品をシェア

pagetop