美容師男子×美麗女子
「キスもセックスも許してくれるのに」
「許したつもりはないけど」
「でも千咲は、本当に嫌なことは拒む性格でしょ?」
「あたしが彰を許したって言いたいの?」
彰は豆を食らったような顔をする。
そして、そのあとに頭がおかしくなったんじゃないかってくらい、馬鹿笑いした。
「・・・・・・・なによ」
「ふ、ははは、っくくく」
彰はソファにちゃんと座って、お腹を抱えて笑い出す。
あたしは体を起こして、その彰の様子をじっと見た。
「・・・不愉快。」
「いや、ごめんごめん。俺って、相当嫌われてるなって思って」
今度はあたしが豆を食らった。
「別に、嫌いとか言ってない。なんで今日はそんな自虐的なの」
「自虐じゃないって。なんの皮肉もなく、嫌われてるんだなって思った」
彰は笑いすぎて出た涙を拭きながら、あたしをまじまじと見る。
嘘をつかないこの目は嫌いだ。
こいつのこの目は、怖い。
「寝よっか」
「は?」
「酒回ってきたし、眠くなってきた」
そういいながらも、彰はコップの中のワインを飲み干した。
とっくに日付は過ぎていて、あたしたちがどれだけ飲んでいたかをまじまじと思い知らされる。