美容師男子×美麗女子
「だってまだ・・・・・・って、ちょっと!」
「いいからいいから」
いきなり彰に抱き抱えられて、あたしはベッドルームに連れて行かれた。
アルコールがきいていて、頭がよく回転しない。
これだから、お酒は嫌いなんだ。
「なにするの」
「別に、なにも。寝るだけ?」
彰はベッドにあたしを下ろして、自分も座り込んだ。
そのまま彰は横になって、意地となって起きているあたしの頭をベッドに押し付けた。
そこで、彰の香水の匂いじゃない匂いを、はじめて嗅いだ。
ふわっとした、優しくて女の子みたいな匂い。
「・・・なんか、可愛い匂いだね」
「は、なにが?」
「彰、いつも香水の匂いしかしないから。彰の匂いって、赤ちゃんみたい」
「うわ、なにそれ。もっと他の表現なかったの?」
暗闇でも分かる彰の嫌そうな顔に笑えてくる。
ぐい、と彰があたしの頭を自分の胸に押しつけた。
ゆっくりとした鼓動が聞こえる。
「まぁ、俺も千咲よりは子供だろうけど」
「そうだね、こんなに子供っぽいとは思わなかった」
彰が苦笑する。