美容師男子×美麗女子
□核心
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2月。
冬休み明けの体が重い時期も通り過ぎて、まだまだ冷え込む月になった。
あの日以来、彰はあたしに干渉してこなくなった。
軽く声を掛ける程度で、それ以上はなにもしない。
周りの野次馬も「別れた」だとか言って、あたしたちに飽きてきたみたいだった。
まだまだ女子からの視線は痛いけど、前よりは軽くなった気がする。
濡れた上靴も、隠された教科書もひと段落ついた。
高校2年生の平和が再び戻ってきた。
「おはよう、千尋」
「おはよ」
今日も彼は眠たそうにして靴を履き替える。
いつの間にか挨拶をするのが週間になった今が、日常になっていて微笑ましいと自分で思ってしまう。
自然と並んで歩きながら、千尋は口を開いた。
「今日、来る?」
「え、今日はバイトないよ」
「もうすぐテストだろ、勉強もかねて」
「・・・・珍しい、勉強する気になったの?」
千尋はあたしを軽く睨んだ。