美容師男子×美麗女子
□花の女子高生
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花の女子高生、なんて言うけど、そんなのはただの妄想にすぎない。
あたしはそう思う。
だって、あたしは女子高生だけど、花なんてないもの。
不幸真っ只。
千咲。それがあたしの名前。
「ねぇ、アヤカちゃん、アヤカちゃんは俺だけのものだよねー?」
「そうに決まってるじゃん、もう」
花、なんてないのに、あたしの名前は千咲だ。
何が咲くのか、名づけた奴に聞いてみたいものだ。
「アヤカちゃーん、次はこっちお願いしまーす!」
「はーい。じゃあトモさん、また今度ね!明日もアヤカの為に来てくれる?」
「勿論だよ、俺だけのアヤカ」
真っ赤なシルクドレスを靡かせて、あたしは立ち上がった。
じっとりと他の人間からの視線を受ける。
あぁ、早く睡眠にありつきたい。
あ、でも帰る家なんてどこにあったんだっけ。
私は真っ赤なピンヒールを鳴らせながら、ご指名してくれた客の前に立った。