美容師男子×美麗女子
「おまえ、俺を憎んでるって顔してる」
春樹くんの黒髪が揺れた。
今は耳に穴は開いてるものの、ピアスはついていない。
「仕方ないだろ、お前が美咲の妹なんて知らなかったし」
春樹くんは、お姉ちゃんを愛してるんだ。
そしてお姉ちゃんも、春樹くんを愛している。
春樹くんはお姉ちゃんに会って、変わった。
見た目も勿論、仕事にもついてるし、人を殴らなくなった。
春樹くんはあたしがお姉ちゃんの妹だって知らなかった。
“あたしの姉”としてお姉ちゃんと出会ったんじゃなくて、“美咲”としてお姉ちゃんと出会ったんだ。
だから、
「・・・・・・恨んでなんか、ない」
春樹くんは笑った。
3年前の春樹くんとは違う。お姉ちゃんに会って、春樹くんは笑うようになったんだ。
「あ、そ」
だけど聞きたい。
春樹くんはお姉ちゃんを愛しているのに、なんであたしを抱くの?
あたしじゃなくて、お姉ちゃんに会いに行けばいいのに。
それを聞いても、春樹くんは絶対「気分」って答えるんだ。
それが、春樹くんなら仕方無い。あたしはそう割り切っている。