美容師男子×美麗女子
息を吐いた。
耐えられなくなって、春樹くんの体を強く押す。
「・・・・・もうちょっと」
「・・・・・・・・はる、きくん、」
耳を唇で挟まれる。
くすぐったくて、体を捻ると春樹くんはまた笑った。
「っ・・・・・・・」
春樹くんはあたしから離れた。
切れ長の目が、あたしを見下ろしている。
「千咲さ、俺のことまだ嫌い?」
急いで制服のボタンを閉める。
髪も整えて、体を起こした。
春樹くんはあたしをじっと見てる。
座っててもこんなに身長の差があるんだ、力で敵うはずがない。
春樹くんを見上げて、口を開いた。
「きら、」
い は押さえ込まれて言えなかった。
春樹くんはあたしの頭を抱いて、自分の胸に押し付ける。
ぽんぽん、と雑に頭を撫でて、そのまま立ち上がった。
「お前、髪切った?なんか、短くなってるわ」
どきりとした。
あたしでも母でも分からない、そんな変化を春樹くんは気付いた。
「じゃあ、俺行くわ」
春樹くんはひらひら手を振りながら、あたしの部屋を出た。
ぼさぼさになった頭で、あたしはその後姿をぼうぜんと見てるだけだった。