美容師男子×美麗女子
「うん、塗ると綺麗かも。あたし、青色嫌いじゃない」
「青色じゃなくて、藍色な」
光にかざして見てみる。
控えめに輝く粒子が綺麗だ。
「いいじゃん、藍色似合うぜ」
「知ってる」
「なんだそれ、自惚れか」
千尋は呆れたように笑った。
そうか、あたしは藍色が似合うのか。
「ねぇ、今度足にやってくんない?」
手を振って、爪を乾かす。
ちらりと千尋を見た。
「足?」
「うん、足の爪。ペディキュアくらい、千尋できるでしょ?」
爪を鼻先に持ってくる。視線を千尋にやって、その匂いをかいでみた。
うわ、これ、匂い最悪。
「あぁ、できる」
「うん、じゃあ待ってる。今日はこれで帰るけど、明日いい?」
反対側の指で爪を触ってみる。よし、乾いたみたい。
「あぁ、全然空いてる」
予想通り、千尋は笑顔になった。
どんだけこいつは練習がしたいんだ、ってくらい。
でも、悪くない。
素直な千尋を見るのは、悪い気しない。
むしろ、ずっと見ていたい。