美容師男子×美麗女子
□あたしの菱形大連鎖
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『千咲、私ね、とっても好きな人ができたの』
あたしの大好きなお姉ちゃんが、笑った。
あたしと良く似た顔でも、お姉ちゃんの笑顔の方がやっぱりいつ見ても綺麗だった。
幸せそうなお姉ちゃん。
最近仕事漬けで、もう疲れたって言っていたお姉ちゃんの暗い表情はどこにもない。
『プロポーズもしてくれたの。不器用だけど、とっても優しくて、温かい人よ』
あたしに優しく笑いかける。
見ているだけで、幸せだった。
『あたしも見たいな、その人』
『勿論!今ね、お父さんとお母さんに会って、話をしてるの。向こうのご両親にも挨拶をしたし、千咲にも会わせないとなって』
お姉ちゃんは幸せそうだった。
だけど、部屋に入ってくるその人を見て、あたしの頭の思考は止まった。
あたしが世界で一番、会いたくない人だった。
『紹介するわね、こちらが、春樹くん』
その時、あたしはきっとちゃんと笑えてなかった。
だけど、きっとお姉ちゃんにはばれなかったと思う。
だって、あたしの気も知らないで幸せ一杯なんだから。