美容師男子×美麗女子
「っ、は」
あたしは飛び起きた。
枕元で携帯がうるさく鳴っている。
息を吐いて、アラームを止める。
ゆっくりと、心臓が正常機能していることを確認する。
ベッドから下りて、すぐに服を脱いだ。
汗で濡れてる。あたし、どんだけ意識してたんだろう。
きっと、昨日の夜、聞きたくないものを聞いてしまったからだ。
昨日はお姉ちゃんが帰っていた。もちろん、春樹くんも顔を見せていた。
あたしが寝るときに、あたしは聞いた。
お姉ちゃんの声と、ベッドの軋む音。
頭から離れない。
ずっとそのことしか考えられなくて、結局寝たのは夜中をまわった頃だった。
春樹くんと、お姉ちゃんが。
ううん、だって当たり前だ、二人は婚約者なんだから。
あたしがいちいち気にした所で、それは外部の妨げにしかならない。
そうは分かっている、けど。
嫌な感情しか芽生えてこなかった。
何故かお姉ちゃんを心で恨んでて、もともとあたしのものでもないのに、春樹くんをとられたってどこかで思ってる。
あたしが先に春樹くんと付き合ってたのに、って。