美容師男子×美麗女子
「この公園、誰も来ないだろ。だから、たまに来てるんだ」
よいしょ、と千尋はあたしの座ってたベンチに腰をかける。
「・・・・は?なに、それ」
「ここに座ってるとさ、ほら」
千尋が唇に指を当てて、視線だけを草むらに向けた。
そうすると、間もなくして「ニャー」とだけ声が聞こえる。
出てきたのは猫。
「ほら、猫」
自慢するような目付きで、あたしを見上げる千尋。
足元の痩せこけているブチ猫が、くねくね身を捻らせている。
「千咲、動物嫌い?」
「いや、そんなことは・・・・・・・・」
いきなり、力強く腰を引かれる。
声を出す暇もなく、よろけるようにして千尋の膝の上に乗った。
「・・・・・・なにす」
「ちょっと、待て」
千尋が器用に足元の猫を拾い上げる。
そして、あたしと千尋の間に猫が入った。
要するに、サンド状態。