美容師男子×美麗女子
「可愛いだろ、飯やりにたまに来てんだ」
「毎回こんな時間に公園来てるわけ?」
「いや、たまに。野良にあげるってあんまり良くないし」
「何で?」
千尋はぐいぐいとブチ猫を撫でる。
ブチ猫の顔があたしの脇腹に押し付けられた。
「近所の人とかさ、色々苦情あるわけ。だからばれないように、内緒で飯やってんだって」
「ふうん」
「飼いたいもんだけどさ、うちは客商売だから無理だなー」
ごろごろと猫が喉を鳴らす。
「懐いてるだろ」
千尋が屈託のない笑みであたしを見る。
つい、反論したくなるのはあたしの悪い癖。
「・・・・・ご飯もらえるから、甘えてるだけじゃないの?猫なんて、その言葉通り猫かぶりじゃない。ご飯くれなかったら、きっとこんなに甘えてない」
「うーん、まぁ確かに。はじめはシャーシャー言ってたしなぁ」
千尋はそんなこと気にもしてない様子で、ブチ猫を撫でくりまわしている。
さっきまでは氷みたいに冷たかったのに、今は猫らしい温度になった気がする。