美容師男子×美麗女子
千尋と別れて、あたしは早足で家を目指して歩いた。
あそこの公園から千尋の家って、結構の距離があると思ったんだけど。
千尋、猫好きなんだ。興味は無いけど。
久しぶりに携帯している携帯を開く。
周りはみんなスマホばっかで、カチカチしている人なんてそうそう見当たらない時代になってきた。
まぁ、一生ガラケー使うつもりだけど。
ボタンいじってるほうが、あたしは好き。
「2時か・・・・・・」
人っ子一人も居ない住宅街で、空を見上げてみる。
星、は見当たらない。
真夜中だって言うのに、都会の空は明るすぎる。
一面の星なんか見たことがないのに、あたしはそう思うんだ。
家に着いて、靴を脱いで、部屋に入る。
あたしの部屋の匂いをいっぱい吸いながら、化粧を落としていく。
流行にあやかってグロイくらいに重ねられたマスカラも、肌を覆い隠すファンデーションも、血色の悪い頬を塗りつぶすチークも、全部、全部。
どんどんどんどん本当のあたしが見えてきて、偽者のあたしが剥がれてくる。
メイク落としのコットンをゴミ箱に投げ捨てて、すぐに布団にもぐる。
5時にアラームをセットして、目を閉じた。
早く起きて、シャワーを浴びないと。夜中にシャワーなんてしたら、家族に迷惑をかけてしまう。
うん、最近疲れてきたなぁ。
あたしはどうしたいんだろうなぁ。
気付いたら、アラームが鳴っていた。