美容師男子×美麗女子
□泣かないとは言ってないから
□ □ □
「どう、進んでる?」
「お姉ちゃん」
扉が開いて、可愛らしい声がする。
振り向くと、優しい笑顔を浮かべているお姉ちゃんだった。
「もうすぐテストだもんねー、いつ?」
「あと1週間後。ぎりぎりになって詰め込むタイプなんだよね」
「うん、私も一緒」
あたしは耳にしてたイヤホンを外す。
「千咲は頭がいいから大丈夫!」
「いや、かなり平均点だよ」
「でも学年の半分より上の順位をキープしてるじゃない」
お姉ちゃんはにっこり笑ってあたしの顔を覗き込む。
「まぁ、これは約束だからね」
「うん、千咲は頑張ってるよ」
「自分が言ったことだから。お母さん達にも迷惑かけてるし」
「ううん、私は千咲のこと全然迷惑だって思ってないよ!だって、すごいじゃん。私には無理かなー、人と話す才能ないから」
それはどういう意味?と言う言葉を飲み込む。
お姉ちゃんは「じゃあ、たまには息抜きも必要よ」と言って部屋から出て行った。
あたしはイヤホンを耳につけた。