美容師男子×美麗女子
「小学校中学校とはわけが違うんだよ?だって、ひどかったら3年生になれないんだよ?」
「まぁ、それは困るけど」
「じゃあ勉強しなよ」
「自分の家って何か集中できないんだよな」
こんなやりとりをして、早2時間は経っている。
千尋を無視して、あたしは学校でもらったワークに書き込んでいる。
「千咲、なんでこの間公園にいたんだ?」
「たまたま通りがかっただけ。これ本当」
「なんで?」
「友達と遊んでた」
そう言うと、千尋は「ふーん」とだけ返した。
「信じるか信じないかは別だけど」
「うわ、そう言われると本当っぽく聞こえてくる」
シャーペンを置く。
切羽詰まって勉強してたから、頭がガンガンする。
「・・・・なに」
「別に」
意味もなく、突っ伏している千尋の髪を触ってみる。
両手でぐしゃぐしゃにして、指に絡めたり、引っ張ったり。
「痛いって」
「千尋の髪は本当に癖毛だねー」
「生まれつきだから仕方無い」
不服そうに千尋が睨む。
千尋の髪から、整髪剤のいい匂いがする。