美容師男子×美麗女子
「なんで、こんな・・・・・・・・」
春樹くんの唇が、首に這う。
自分の体をきつく抱きしめてたはずなのに、いつの間にか春樹くんに剥がされてしまっていた。
だめだ、だめだ。
もしお姉ちゃんたちが帰ってきてしまったら、今の状態をなんて言うだろう。
平和なはずな“今”が、もう帰ってこないんだ。
「・・・・・春樹くん、」
「嫌?」
右手首をベッドに縫い付ける春樹くんが、あたしの目を見てそう言った。
なんで、なんで。
春樹くんは、お姉ちゃんが一番好きなんでしょう?
じゃあ、なんであたしを抱くの?
なんで、無駄な期待をさせるの?
「・・・・・・・・・・っ、」
ベッドの下に、どんどん脱がされていく衣類がたまっていく。
その度に、下手に動けなくなってしまう。
「・・・・・・は、っ」
春樹くんの動作や仕草に、見惚れてしまう。
そう、こんなに大好きなんだ。だけど。
「千咲・・・・・・・」
あなたは、あたしじゃなくて、お姉ちゃんを選んだのに。
あたしには、わかんない。
ベッドが軋んだ。
意識もしないで咄嗟に出てしまう悲鳴を、なんとか堪える。
春樹くんの髪が背中に触れた。