美容師男子×美麗女子
「・・・・・・・・ごめん」
春樹くんは、確かにあたしの目を見てそう言った。
これは、何に対しての謝罪なんだろう。
そう考えた瞬間、あたしの“何か”が零れそうになった。
唇を噛み締めて、あたしは春樹くんに笑ってみせる。
「ばか、大好き、大好き」
何かを堪えて、春樹くんの目をじっと見つめる。
春樹くんはあたしの肩から手を離し、目を逸らした。
「大好きだから・・・・・・・」
やっと、言えた。
伝えれたんだ。
あたしはすぐに着替えて、何も持たないで家から出た。
春樹くんは何も言わなかった。
外に出ても、どこに行けばいいのか分からない。
上着を着てくるのを忘れたから、寒さが身にしみる。
もう、どうすればいいのか分からない。
予想はしてたのに。
「・・・・・・・どうした?」
もう、頭がぐちゃぐちゃしてるんだ。
細身で、全く筋肉のついていない体にしがみ付いた。
癖毛が顔をくすぐる。
甘い匂いを深く吸って、力の限り抱きしめた。