美容師男子×美麗女子


やっぱり、こうなるんだ。

春樹くんに想いを伝えられた。

伝えられたんだけど、こうなることは分かってたんだけど、やっぱり現実は直視することができない。


「“はるきくん”絡み?」


あたしは思わず顔を上げてしまう。


「なんで、それ知って・・・・・・」

「今日、電話で話してただろ」


盗み聞きなんて趣味悪い、と思ったけど仕方無い。

反論しかけたら、千尋に頬をつかまれる。


「うっわ、不細工」

「・・・・・・・はなして」


千尋の親指と人差し指が、頬に食い込む。

どんなに不細工だろうが、もう気にもしない。


「失恋?」


千尋はにやりと笑った。

こいつ、分かってるくせして。


千尋があたしから手を離して、その代わりに頭をぽんぽんと叩いた。


「俺、千咲のことよく分からないわ」

「・・・・・・・・だから?」


千尋はまた笑って、今度は手を広げる。

あたしは意外にもその胸に体を預けた。なんでこんなに素直になれたんだろう、って自分でも驚いているくらい。

だけど、今は優しさに甘えていたい気分。


「・・・・・ありがとう」

「ん」


あたしはもう1度、溢れてきた涙を拭った。



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