美容師男子×美麗女子
今日は千尋が新しいネイルをしてくれて、あたしが自分でも分かるくらい上機嫌だ。
前回の藍色を落として、今回は赤色を塗った。
「もうすぐクリスマスだね」
「千咲はなんか予定あるのか?」
「うん、まあ」
クリスマスはお店が稼ぎ時だから、もちろん休むわけには行かない。
「千尋は?」
「無い」
どうせ、興味も無いくせに。
千尋はリキッドをしまって、床に寝そべった。
「千咲、手にネイルする気は無い?」
「手ー?」
クッションを千尋のベッドに投げて、あたしは足を伸ばした。
まだ塗ったばかりのネイルがきらきら光っている。
「うん、いいね。学校も無いし」
「足と同じやつでいい?」
「うん、そろえたい」
千尋は笑った。
すぐに立ち上がって、棚に敷き詰められている箱を手に取る。
「ねぇねぇ、千尋はジェルネイルとかできないの?」
「あれさー、色々面倒なんだよなー。器具いるし、高いし」
「うん、サロンとかでやると値段すごいよね」
「俺んところもやってるんだけど、やっぱりまずは基礎からだって」
千尋は真っ赤な瓶を取り出して、手でころころ転がした。
千尋の驚くほど白くて細い指と、赤い瓶が反対色すぎて目を奪われる。