美容師男子×美麗女子
「春、樹くん」
告白した以来、春樹くんのことをしばらく見ていないから、会うのは久しぶりだ。
「びっくりした、違う人の部屋に入ったかと思った。お前、化粧すると大人っぽくなるな」
「まぁ、商売だから。未成年だってばれたら、捕まるしね」
春樹くんは苦笑して、ベッドに座った。
あたしは片付けながら、視線だけを春樹くんに向ける。
「どうしたの?なんか、すごい久しぶり」
「いや・・・この間、すっげぇ曖昧になったから」
曖昧。
あたしが告白したときの、“ごめん”のことかな。
聞きたくない。だって、結局“ごめん”なんだから。
「いいよ、別に。だって、あたしが勝手に春樹くんを想ってただけだから」
つけまつげを触りながら、あたしは言った。
こんな感じのまま、春樹くんとお姉ちゃんは結婚するんだ。
あたしは、この人を家族として見ないといけないんだ。
なんか、嫌だ。
「千咲、・・・・・」
春樹くんの申し訳なさそうな声がする。
嫌だ。春樹くんらしくない。
横柄で、乱暴で、暴力的な春樹くんのイメージが狂ってしまう。