美容師男子×美麗女子
アキラには、前に千尋と会った公園で下ろしてもらった。
冬に、この格好は寒すぎる。
幸いまだ朝が早いから人が居ない。すぐに帰らないと。
慣れないヒールで公園の砂利を踏む。
あたし、端から見たらどんな格好なんだろう。
疲れたドレスの女が、公園を歩いてる姿。
すごい滑稽だ。
結局、何も分からなかった。
何も考えないで快楽に溺れてたら、楽になるかもって思ってたけど。
あげられなかった声もあげて、散々鳴けば何かが壊れると思ってたけど。
下半身が痛くなって、喉が痛くなっただけだった。
「っ・・・・・・・・・」
どん、とぶつかった。
あまりにもヒールにとらわれすぎて、前が見えていなかったかもしれない。
謝ろうとして、顔を上げた時。
血の気が引いていくのが分かった。
「・・・・・・・・・・・・・千、咲・・・・?」
ダウンにスウェット姿の、かなり楽そうな格好の、ゆるい千尋が立っていた。
あたしは一瞬で後ろを向いた。
そして、全力で走り出した。
あぁ、まずい。見られたよね。
化粧してたけど、やっぱり見たよね。
「千咲!待てって」
ヒールで上手く走れなくて、まんまと千尋に手首をつかまれた。