仮からはじまる

あんな集団でたむろして、ほいほいけんかして。
まるでヤンキーみたいじゃない。

あれ?
もしかしてこのふたり…。
ヤンキーなの?

けんか強そうだったし。
そもそもけんかすること自体、ヤンキーっぽくない?

そして、あたしを脅すこのやり方。
まるでヤンキーみたいね
と言おうとして。

「まるでヤン…

ヤンキー、と言おうとしたところで。
結城真一が壁にどんと手をつく。

ぎゃぁあー!!
たっ、助けてー!!

「やっぱり、監視の必要がありそうだな?」
「そうだよねー、学校にヤンキーだってばれたら、暴力沙汰とか教師に目つけられて面倒だし、やりずらいよね」

結城真一と平野篤の短い話し合いは、すぐにまとまったみたいだけど。
暴力沙汰とか自分で言っちゃってるし。
あのね、大丈夫なの?

「だっ、だから、誰にも言わないって言ってるじゃない」
「そうは言ってもな」
「ばらされたら困るんだよねー?」

ふたりに挟まれて睨まれて…。
もう、あたしどうしたらいいの?

「そうだな、やっぱりおまえのことは、今日から監視させてもらう」

やっぱりそうなるのね…。
もう嫌…。

ていうか、監視って具体的にどうするの?
四六時中見張ってるわけにもいかないでしょ?

「あ、それならさー。唯ちゃんをシンの彼女にしちゃえばー?」

は、はぁあああー?

「誰が、誰の?」
「もちろんー、唯ちゃんが、シンの」

突然何を言い出すかと思えばっ!!
もちろんってなんなのよ!!
なんでそうなるのよっ!!

ていうかそんなの結城真一が納得するわけないでしょ! ?

と、思いきや…。

「ああ、それ便利だな」
「でしょー?」

ちょっとっ!!
ふたりで勝手に話を進めないでよっ!!

「あ、あの、何でそんなことに?」

もう、どうしてあたしがおどおどしなきゃいけないのよっ!!
でも強くは言えないわ…。
< 12 / 48 >

この作品をシェア

pagetop