仮からはじまる
5
「ところで、おまえ」
結城真一は改まってあたしに向き直ると、一歩近付いてきた。
ん?
あれ?
距離が近い…。
「おまえ、あいつらに俺と付き合ってるって言わなかったのか?」
「そっ、それは…」
じりじりと近付いてきて、壁に追い詰められる…。
「言えばよかったのに。何で言わなかった?」
「言ったところで信じてもらえるかどうか…」
「俺を呼べばよかっただろ、俺が証明してやるよ」
証明?
宣言するってこと?
さっきあの集団の前で言ってたわね。
人前で言ってどうするのよ…。
なんて考えてたら。
結城真一は棚に手をついて、あたしを両手で挟むように立つ。
何よこれ…。
身動き取れないし、逃げられない…。
「おまえが俺と付き合う理由ってなんだ?俺の名前を利用することじゃねえのか?」
「利用なんて、そんなこと…」
「とにかく呼べよ、何でもいいから」
う…。
顔が怖い…。
怒ったように言われちゃって。
どうしたらいいの?
でも、ここで怯んだら負けちゃう…。
「どうして来てくれたの?」
かなり強気の態度で言ったつもりだったけど。
「おまえが歩いてくのが見えたから」
さらっと言われちゃって。
でも、言われて気付いたの。
「来てくれなかったら、今頃どうなってたか…」
「言うな、考えたくない」
あたしも考えたくないわ。
そう思ってたら。
背中に腕を回されて。
ぎゅうと抱きしめられたの。
ぎゃぁあああー!!
こっ、これじゃ昼間と同じじゃない!!
急に抱きしめられて、ただでさえどきどきしてるのに。
昼休みのことまで思い出しちゃって。
余計にどきどきして、もう胸が苦しい。
背中に回された腕に、ぎゅうと力を込められて。
またあたしはさらに抱き締められたの。
緊張して体が硬直しちゃって。
すごい力で押さえつけられてるせいで、全然身動きとれない。
「あ、あの…」
それだけ言うのがやっとで、もう何も言えないし…。
でも。
結城真一は改まってあたしに向き直ると、一歩近付いてきた。
ん?
あれ?
距離が近い…。
「おまえ、あいつらに俺と付き合ってるって言わなかったのか?」
「そっ、それは…」
じりじりと近付いてきて、壁に追い詰められる…。
「言えばよかったのに。何で言わなかった?」
「言ったところで信じてもらえるかどうか…」
「俺を呼べばよかっただろ、俺が証明してやるよ」
証明?
宣言するってこと?
さっきあの集団の前で言ってたわね。
人前で言ってどうするのよ…。
なんて考えてたら。
結城真一は棚に手をついて、あたしを両手で挟むように立つ。
何よこれ…。
身動き取れないし、逃げられない…。
「おまえが俺と付き合う理由ってなんだ?俺の名前を利用することじゃねえのか?」
「利用なんて、そんなこと…」
「とにかく呼べよ、何でもいいから」
う…。
顔が怖い…。
怒ったように言われちゃって。
どうしたらいいの?
でも、ここで怯んだら負けちゃう…。
「どうして来てくれたの?」
かなり強気の態度で言ったつもりだったけど。
「おまえが歩いてくのが見えたから」
さらっと言われちゃって。
でも、言われて気付いたの。
「来てくれなかったら、今頃どうなってたか…」
「言うな、考えたくない」
あたしも考えたくないわ。
そう思ってたら。
背中に腕を回されて。
ぎゅうと抱きしめられたの。
ぎゃぁあああー!!
こっ、これじゃ昼間と同じじゃない!!
急に抱きしめられて、ただでさえどきどきしてるのに。
昼休みのことまで思い出しちゃって。
余計にどきどきして、もう胸が苦しい。
背中に回された腕に、ぎゅうと力を込められて。
またあたしはさらに抱き締められたの。
緊張して体が硬直しちゃって。
すごい力で押さえつけられてるせいで、全然身動きとれない。
「あ、あの…」
それだけ言うのがやっとで、もう何も言えないし…。
でも。