仮からはじまる

泣いてたせいでうまく話せない状態のともちゃんは、一生懸命に息を整えて

「御崎さんが、結城くんと付き合ってるの?」

とんでもないことを言う…。

えっ!と派手に驚いたあきなちゃんがあたしよりも先に

「なんで?どうしてそうなるの?」

ともちゃんに詰め寄る。

ああ、もう、本当に。
なんでどうしてそうなったのかしら。

「どっ、どうして?」

明らかに動揺しちゃって…。
あたしったらますますあやしいじゃないっ!!

「それは…」

ともちゃんは言いにくそうに俯く。

しんとした廊下にともちゃんが鼻をすする音だけが聞こえて。
ああ、もう、どきどきして緊張する…。

「さっきね…、結城くんに告白したの…」

えっ!!

こっ、こくはく!?

ともちゃんが結城真一に告白!?

「つきあってるやつがいるから無理だって言われてふられたの…。結城くんに付き合ってる人がいるなんて…。御崎さん、急に結城くんと仲良くなってるから、もしかして御崎さんと付き合ってるのかと思って…」

う…。
結城真一と急に仲良くなったように見えるなんて…。

でも確かに…。
今まで一回も話したこともなかったのに。
あの集団から助けてもらってからは何回も関わってるし…。

これって、急に仲良くなったことになるのかしら…。

何も言えないあたしから、ともちゃんとあきなちゃんは目を離さない。

う…。
何か言わなきゃいけないのは分かってるんだけど…。
でもなんて言ったらいいのか…。
どうしたらいいの?

ともちゃんが、あたしの後ろの何かに気付いて。
あっ、と小さく呟く。

えっ、なに、どうしたの?

赤くなって俯くともちゃん。
気になって振り返ると…

いっ、いやー!!
結城真一がこっちを見てるー!!

しかも…。
めちゃくちゃ怖い顔っ!!

なっ、なんで!?
なんでー!?
なんでどうしてこうなるの!?

平野篤も隣にいるしっ!!
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