仮からはじまる
第九章

女の子たちはうきうきざわざわして。
あたしはそれを見てどんより…。

そうなのよね…。
来週はもう2月。
2月になったらすぐに14日の。

ばれんたいん…。

彼女がいても関係ない
結城様に告白する

そんな声が聞こえてきて。
あたしは落ち込むの。

ていうかそんなの聞かされて。
あたしはどうしたらいいの?

手作りするとかしないとか。
手作り…。
ていうか作ったところで。
受け取ってもらえるかしら?

本当に付き合ってるわけじゃないもの。
考えるのは結城真一のことばっかり。

付き合ってるのは監視するため。
彼女っていっても、監視するための便利な肩書き。

そんな関係なのに、今あたしが告白したところでどうなるの?

ていうか、もしふられたらどうすればいい?
ふられても監視されるために一緒にいるなんて…。
そんなの悲しすぎる…。
むなしいし、気まずいでしょ。
いくらなんでも。

うーん…。
どうしたらいいのかしら。

でも、何か渡したいのよね。
せっかくのバレンタインなんだから。
結局、考えるのはこればっかり。

いつもお世話になってます
って言って渡すのも変よね?

じゃあ、告白?
いや、無理でしょ…。
ふられたらどうすればいいの?
また同じところに戻っちゃうし…。

それから…。
渡すならいつ渡すの?
バレンタインは土曜日。
侑子ちゃんには前日の金曜日に渡しても。
結城真一にも金曜日に渡して大丈夫かしら。
やっぱり当日に渡すべき?
でも、土曜日に呼び出して渡すなんて…。
とてもできないわ…。
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