仮からはじまる

「あ、あの…」
「うん」

ああ、もう…。
覚悟を決めて。

言うしかないわっ!!

「好きです…」

い…
言えた…。

でも、言えたけど。
何も言ってくれなくて…。
もしかして、やっぱり。
迷惑だったかしら…。

「迷惑?」

恐る恐る聞いてみたの。
そうしたら

「俺はずっと前から好きだったよ」

あっさりと。
とんでもないことを言われて。

えー!!
なにそれー!!
どういうことー!?

「そうなの?」

動揺しすぎて変な声…。
自分でもおかしいとは思うけど。
でも、今はそんなこと気にしてられないの。

「ああ」

ちょ…
ちょっと待ってよ…

「じゃなきゃ、なんで付き合うことになるんだよ」

聞かれたけど。

「監視目的じゃなかったの?」
「そんなの、ただの口封じなら脅しとけばいいだろ」

そう言われて。

「便利な肩書きって言ってたじゃない」
「そう言えば納得するかと思ってな」

ちょ…
ちょっと待ってよ…。

「せっかくだから言わせてもらうけどな」

結城真一があたしに一歩近付いて。
距離をつめる。

ち…
近いわ…。

「俺はずっと前から好きだったよ。だから付き合いたいと思った」
「ずるいわよ」

思わず言っちゃう。
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