青のキセキ
「課長?そろそろ時間ですよ」


もうすぐ、タクシーがマンションの前に着く頃だろう。私は課長に声をかけた。



「ん?あぁ」


課長はゆっくりと目を開け、鞄を持って立ち上がり、玄関の方へ歩いていく。


その後姿を見つめながら、私は玄関まで見送る為に付いて行った。


靴を履き、ドアノブに手をかけたと思ったら、ふいに振り返り私を見る課長。


「今日は、すまなかったな」



「いいえ。私こそ、本当にすみませんでした。また月曜日から、よろしくお願いします」



ドアが開き、カチャンと閉まる音。



課長が帰っていく靴音が聞こえる。だんだんと小さくなる靴音。




「....っく。うっ、っひっく....」


嗚咽と主に、課長に対する思いが溢れ出す。





どうして、いつの間に、私はこんなにもあの人を好きになったんだろう。

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