青のキセキ
「みんな、ありがとう」
今まで胸の奥底で氷のように冷たく固まっていたものが、少しずつ溶けていくような気がした。
まだまだ男性に対する恐怖心はゼロにはならないけれど、元彼のように残酷で冷酷な男ばかりじゃないことを、身を以て知ったから。
課長や翔さんのように、温かい男性もいることを身を以て感じたから。
「過去に何があったのかは分かった。辛かったな」
課長が私の後頭部に手を添えて、自分の胸に引き寄せた。
再び感じる課長の鼓動。
課長の香りに安心する。
過去のトラウマから一歩ずつ解放される自分を感じた。