青のキセキ
次の日から、日常生活に戻った俺達。
電車内で誰にも見られないように、そっと手を繋ぐ。
少し照れたように笑みを溢す美空。
相変わらず満員の暑苦しい車内。美空が押し潰されないように、必死で守る。
片方の手は指を絡ませ、もう片方の手は、肘から先を電車の扉に押さえ付けながら。
社長や企画部へ買った土産が押し潰されないか気になったが、この際、そんなことは言っていられない。俺にとって土産よりも美空の方が大事だ。
幸い、なんとか土産は無事。
部長が出社して来てから、九州支社での会議の報告をし、その後、部長と共に社長へ報告。
もちろん、社長にも忘れずに九州の土産を渡した。
企画部だけでなく、社長にも好評だった土産に、ホッと胸を撫で下ろす。
その後はクライアントの所へ行き、会社に戻ってきたときのこと。
エレベーターを降り、企画部のドアを開けようとしたときだった。
春山と佐山が騒ぐ声。
それに混じって、美空の声も聞こえる。
どうやら、出張のことで二人にからかわれているらしい。
ったく、女ってのは...。
美空が困ってる風だったので、ドアを開けて部屋へ入る。
美空を困らせないように一言添えてから、自分のデスクへ。
鞄から取り出した眼鏡をかけ、パソコンで出張の報告書をまとめ始めた。