青のキセキ
気が付けば、すでにお昼の12時過ぎ。
いつの間にか眠ってしまっていたらしい。
着信がないか、慌てて携帯を見たけれど、やっぱり課長からの連絡はなかった。
「大丈夫...なのかな...」
ボソッと呟く。
課長のことだから、少しでも時間ができたら連絡くれるはず。
一人の時間ができたら...。
ということは、昨夜からずっと一緒にいるっていうことだよね。
考えるだけで胸が...心が痛くなる。
動悸が激しくなる。
そして、不安になる。
私たちに未来はないんだと。やっぱり課長は綾さんのものなんだと思い知らされる。
私たちの関係が『不倫』なのだと。
どう足掻いても、それは変わらないのだから。
綾さんから電話がかかってくるまでは、ずっとこの幸せが続けばいいと思ってた。
でも...。
綾さんの電話一本で、こんなにも不安になる。心がざわめく。
課長と私、これからどうなるんだろう...。
ひたひたと得体のしれない何かが近付く足音が聞こえるような、そんな気配を覚える。
やり場のない思い。
不安で心乱れ、溢れる涙。
声を押し殺し、一人泣く。
いくら泣いても、抱きしめてくれる人はいない。
私は自分で自分を抱きしめる以外なかった。