青のキセキ
翌日は葬儀屋との打ち合わせや、周囲の人々への対応でバタバタとした一日だった。
綾は哀しみのせいか、何もしようとしない。というか、できないのだろう。
綾に兄弟はなく、義両親の兄弟が手伝ってくれた。
綾の実家は、俺たちの家から車で1時間程の所にあった。
葬儀は実家近くの会館で行われることになり、一旦家へ戻り、喪服やその他の用意を済ませ、綾の実家へ移動する。
美空のことが気になりながらも、綾と一緒に居るため連絡ができない。
きっと心配している。
早く声を聴きたい。
色々な対応に追われながら、美空の姿・声を思い浮かべる。
今朝早く、斉藤部長にはすぐに電話を入れ、葬儀が済んで落ち着くまでは忌引き休暇を取ることになった。
直接電話できなくても、今の状況をメールで知らせておく方がいい。
そう思った俺は、少し落ち着いた頃を見計らって、携帯を持ってトイレへ入った。
はぁ。
大きく溜息を吐く。
『義父と義母が亡くなった。葬儀が済んで落ち着くまで会社は休むことになりそうだ。落ち着いたら連絡する』
急いで文字を打ち込み、メールを送信する。
腕時計をみると午後3時過ぎ。
美空は今何をしているのだろうか...。
明日の夜が通夜で明後日が告別式。
葬儀を終え、日常生活に戻れるのはいつになるのか。
憔悴しきった綾を横目に、俺の心はやり場のない気持ちでいっぱいだった。