青のキセキ
家で準備をしながら、課長にメールする。
『部長とお通夜に出ることになりました』
その後、しばらくして課長から返信があった。
『わかった』
それだけ。
ねぇ、課長。
今、何を考えてますか...?
私は...会いたくない。行きたくない。
課長が綾さんと夫婦だという事実を、これ以上思い知らされるなんて...もう嫌だ。
――――その日の夕方。
タクシーで葬儀会場の会館へ向かう。
私と部長、そして、もう一人。
何故か、石川さんがタクシーの助手席に。
「部長に俺も出るように言われたんだ。課長が休んでる間、課長の代わりにできることは俺がするようにって」
「急に明日から出張に行かなくてはならなくなってね。石川君にお願いしたんだよ」
石川さんをフォローするかのように、横に座ってる部長が言った。
「そう...ですか」
そんな会話をしながら、私たちを乗せたタクシーが綾さんの実家へと走る。
少しずつ、少しずつ、課長との距離が縮まってゆく。
どんな顔をして会えばいいの?
どうしたら、強くなれるの?
ねぇ。
私は、どうすればいいの...?