青のキセキ
堕ちる
それから1時間もたたないうちに、携帯が鳴った。
「今、コンビニ近くのコインパーキングに車を停めた。部屋に行ってもいいか?」
「待ってます」
もうすぐ会えるんだ。
そう思うと、眠気も吹っ飛ぶ。
インターホンの音が鳴り、私は玄関にカギを開けに行った。
ガチャッとドアを開けた途端、視界に入る課長の姿。
「...........」
何も言えなかった。言葉なんて必要ない。
ただ会いたかった。触れたかった。
ドアが閉まると同時に、課長の唇が私の唇に重なった。
絡まる二人の舌。
息も出来ないほど、課長に激しく求められ、体から力が抜けてゆく。
「美空...。会いたかった」
乱れた息の合間に彼に囁かれ、私の身体は溶けそうになる。
「私も…会いたかった…です」
課長の大きな手を背中に感じ、私も課長の背中に手を回した。
「身体は大丈夫なのか?」
「はい、大丈夫です。睡眠不足なだけだから、心配しないでください」
部屋の中へ入り、課長がテーブルの横に腰を下ろした。
「コーヒー淹れますね」
台所へ行き、やかんに水を入れて火にかける。
カップを準備しながら、綾さんと二人でコーヒーを入れた時のことが思い出され、胸が痛んだ。
頭を左右に振り、雑念を払う。
「綾と何の話をした?」
背後に聞こえる課長の声。
「え?」
振り向くと、すぐ後ろに課長がいた。