青のキセキ
変わりゆく日常
課長が会社に来たのは、次の月曜日だった。
あの日。夜明け前に、綾さんの元へ帰る課長の後姿を見送った。
課長が帰った後、ベッドに残る彼の香りに包まれながら、私は目を閉じて眠りについた。
結局、先週は課長が会社に出てくることはなかった。でも、毎日メールのやりとりをしていたためか、不安になることはなかった。声を聴きたいと思ったことは何度もあったけれど...。
週末も課長に会えなかったため、久香とショッピングに行ったり、夜は『翔』で食事したりして気を紛らわせた。
久香も綾さんの両親が亡くなったことを翔さんから聞いたようで、私のことを心配してくれた。
「海堂さん、まだ帰ってこないの?」
「明日の日曜日に帰ってくるってメールがあった。月曜から会社に行くって」
「遥菜、嬉しそう。本当に海堂さんのこと、好きなんだね」
なんて久香が言うもんだから、すごく恥ずかしくなった。
「遥菜ちゃん、一緒に居る時の大和ってどんな感じ?」
興味津々で聞いてくる翔さん。
「とても優しいですよ。私のことを一番に考えてくれて、課長の側にいられるだけで幸せです」
少し照れながら言うと、
「昔の大和からは想像もできない」
と、真顔で言う翔さん。
「高校の時のあいつを知らないから、何とも言えないけど...」
と前置きして、翔さんは話し始めた。
課長から聞いたという大学に入る以前の話や、大学時代の課長のことを。