青のキセキ
「まぁ、私の性格を知っているあなたのことだから、浮気なんて出来ないと思うけど。ということは、結局、あなたは私を許してくれてないのね。だから私を抱くことが嫌なんでしょ...?」
何も答えようとしない俺に、綾は言った。
「確かに、あなたを裏切ったのは私よ。でも、その後も何度も抱いてくれたのに、どうして今なの...?女にだって性欲はあるのよ」
「...わかってるよ」
「私だって辛いのよ。どうしたら許してくれるの?どうしたら抱いてくれるの?」
「ごめん...」
それからしばらくして、何故か、綾は何も言わなくなった。
自分の浮気のせいで、俺が抱かなくなったと思っているのか。
今の所、美空のことを気付かれている様子は無い。
ただ、一緒に食事したり、出かけたりするだけの週末。
そんな日々が過ぎてゆく。
相変わらず肌を重ねようとしない俺に不満気な様子だが、特に迫ってくることもなく平穏な日々。
ただ、美空のことを言いだせるような雰囲気ではなく、それだけが心の中にずっしりと重くのしかかる。