青のキセキ
綾に対する俺の気持ち...。
大学時代、告白されて始まった、俺と綾。
彼女のことは告白される以前から知っていた。美人でスタイルがよく、頭も良いと評判だったからだ。同じ講義に出たり、構内で何度か見かけたりすれ違うことがあったが、言葉を交わすこともなく、「綺麗な女だな」と俺の印象はただそれだけだった。
周りの野郎どもは綾を見かける度にはしゃいでいたのを思い出す。
そんな綾と一緒に過ごすようになったのは、3回生から一緒のゼミになったからだった。
綾と翔と俺と、その他にも何人か同じグループの奴と同じ時間を共有するようになってから、自然と綾と過ごす時間も増えた。
自分を飾らず、男勝りで勝気な綾に少しずつ惹かれていった。俺を含む男達と対等に話をしたり、プライドが高く、気性が激しい所も、今まで付き合った女とは違った魅力に感じ、綾を好きになった理由の一つだった。
社会人になって、綾からプロポーズされた時も、驚きと言うよりも、自分からプロポーズする男前な綾が可愛く感じた。
付き合いは順調だったし、綾と結婚したら楽しいだろうな...とそう思い迷うことなく彼女と結婚した。俺は綾を愛していたから。
結婚して、綾が専業主婦になって俺を支えてくれて。
上手くいっていたはずなのに。
少しずつ歯車が狂ったのはいつ頃からか。
なかなか子宝に恵まれず、毎日イライラし出した綾。同時期の、俺の単身赴任。
全てが悪循環だった。
そして、綾の浮気。
綾が浮気をしたのは、俺のせいでもある。今でもその気持ちは変わらない。
でも、綾との間で喧嘩が絶えなくなり、疲れていたのも事実だ。
会社と綾のどちらが大事かなんて、馬鹿げたことを聞いてきたときに、俺の不満は爆発。
それが、翔の結婚式当日の話だ。
そこで美空と出会った。出会ってしまった。
偶然か運命か。
綾に情はある。
でも、もう以前のように、綾を愛せない。
美空を愛してしまったから......。