青のキセキ
挨拶終え、出来上がった試作品をテーブルの上に出す。
「素敵!本当に素晴らしいわ」
美咲さんが感嘆の声を漏らす。
「これなら、病院嫌いな小さいお子さんも喜んでくれると思うわ。ねぇ、修一さんはどう思う?」
美咲さんに意見を求められて、一瞬私の方を見た修一さん。
彼と視線が重なり、私は心臓が何かに握り潰されたような、そして何か鋭い物で切り裂かれたような衝撃を受けた。
脈拍が激しさを増し、震えそうになる身体。
まるで、獲物を狙う獣のような目。
「そうだね。とてもいいと思うよ。美空さんと、佐山さん…でしたよね。ありがとうございます。妻の喜ぶ顔を見られて良かったです」
美咲さんの肩を抱き、口角を上げた彼。
「そう言っていただけて、私共も嬉しいです。カフェのスイーツの方も気に入っていただけるといいのですが…」
何も知らない佐山さんが、修一さんや宏一さんと仕事の話をしている間、私は平静を装うことで精一杯だった。
美咲さんに、DVを受けている様子は見られない。
だって、修一さんに怯えている感じが全くないから。
それに、家族と一緒に住んでるし、暴力を振るわれる機会もないのかもしれない。
美咲さんが幸せそうな笑顔を浮かべていることに安堵する。
それとは反対に、私を時々見る彼の目が怖くて、私は彼の方を見ることができなかった。
それでも感じる彼の視線。
どうして...?
あなたは今、幸せなんでしょ..?