青のキセキ
『大したことじゃない』
『大丈夫』
そう言った美空の言葉の裏に、どんな意味があったのか。
どうして『知り合いに会いに行く』のではなく、『会わなきゃいけない』と言ったのか。
今思えば。
美空は何かを訴えようとしていた。
美空の様子がおかしい所は、いっぱいあったのに。
美空はSOSを発していたのに。
どうして俺は、気付かなかったのか...。
あの時に気付いてやれていれば、あんな悲劇が起きることはなかったかもしれない。
俺と綾に頭を下げ、会社を出て行く美空の背中が、とても寂しそうで。
でも、俺は。
あいつが抱えていた苦しみに何一つ気付いてやれなかった。
まさかそれを一生後悔することになるなんて...。
そのときは、思いもしなかったんだ。