青のキセキ
崩壊
修一さんの待つホテルの前で。
もう何分こうやってるんだろう...。
時計を返してほしい一心でここまで来たのはいいけれど、いざとなると、やっぱり怖くて。
溜息と共に、手にした携帯に視線を落とす。
課長の電話番号を画面に出す。
今、どこで何をしてる...?
綾さんの誕生日プレゼントを二人で選んでる?
それとも、食事中?
ダメ...。課長に電話するわけにはいかない。
綾さんと一緒にいると分かってて、かけられるわけがない。
それに、もし電話したとしても、課長が出る筈がないじゃない。
綾さんの前で、私からの電話に出るなんて、あるわけない。
私は、瞳を閉じて携帯を鞄にしまった。