青のキセキ
傷付いた友【久香side】
慣れない育児に奮闘しながら、微睡んでいたある日の早朝のこと。
携帯電話が鳴り、開かない瞼を必死に上げる。
「ん~...こんな時間に...誰...」
開けきらない目を必死に開け、少しばかり開いた目で携帯を見ると、電話は遥菜からだった。
「もしもし...遥菜?どうしたの...こんな朝早く...」
隣でイビキをかいて寝ている翔ちゃんと、ベビーベッドで両手を上げて寝ている一花を起こさないように、私は寝室から出た。
「助けて...久香...」
電話の向こうで、遥菜が泣きながら言う声。
「何かあったの!?」
遥菜の声に、一気に目が覚めた私。
こんな早朝に、助けを求める遥菜。
普通じゃない。
「今、どこにいるの!家!?」
遥菜から居場所を聞いた私は、寝室へ戻って翔ちゃんの肩を揺すって言った。
「翔ちゃん!起きて」
「...ん~。何時...?」
「これから遥菜の所に行ってくる。何かあったみたいなの。一花のこと頼んでいい?」
私の言葉に、翔ちゃんが片目を瞑りながら体を起こした。
「何かって...遥菜ちゃん、どうかしたの?」
「泣いて助けてって...。とりあえず行ってくるわ」
急いで用意をして、タクシーを呼んだ。
「また連絡するから。一花のことお願いね」
マンション下からタクシーに乗って、遥菜の元へ急ぐ。
耳に残る、遥菜の声。
一体、何があったの...?