青のキセキ
悶え、そして...
翔さんが持ってきてくれた久香の服を着て、ソファに座る。
なにも考えられない。考えたくない。
「大和に連絡は...?」
翔さんの声。
昨日の課長と綾さんの姿を思い出す。
綾さんの誕生日だった昨日、夫婦でデートを楽しんだのだろうか。
一緒にプレゼントを選らんで、食事をして、そして、綾さんは課長のマンションに泊まったの...?
多分。ううん、きっと。
二人は一緒にいるだろうから。
課長には言えない。知られたくない気持ちよりも、心配かけたくない気持ちの方が大きくて。
「俺が連絡するよ」
優しく微笑んで翔さんが言った。
翔さんが課長に電話をかけてくれている間、私は瞳を閉じて、ただじっと待った。
本当は、今すぐにでも課長の声が聴きたい。
だけど、それはダメ。
課長の声を聴くと、泣いちゃいそうだから。
泣いたら、課長が心配するから。