青のキセキ
真っ暗な闇の中。
見渡す限りの闇。
もがいても足掻いても、出口は見つからなくて。
ひたすら何かから逃げ惑う私。
走っても走っても、背後から迫ってくる“何か”。
誰...誰なの...?
手首を掴まれ、その場に押し倒される。
獲物を捕らえた獣のように舌舐りをした“何か”が、私に覆いかぶさる。
嫌。
来ないで。
いやぁぁぁぁぁ!!!
大声で叫ぶ私。
「遥菜!!大丈夫?落ち着いて」
目が覚め...。
白い天井が見えた。
全身に汗をかき、乱れた呼吸。
「遥菜、もう大丈夫だから」
久香の声が聞こえて、横を見ると。涙を浮かべた久香と、久香の肩を抱いた翔さんがいた。
恐怖から解放された安心感。
「ここ...は...?」
「病院よ。遥菜、過呼吸で気を失ったの」
過呼吸...?気を失った...?
徐々に思い出される記憶。
そうだ...。私、修一さんに...。
ジワリと溢れ出す涙。